The Road Not Taken 〜タンザニアライフ〜

JICA海外協力隊(青年海外協力隊)タンザニアでの生活、活動の様子をのんびり載せていきます!

Baseball…Nini?  その1 

どうも!

 

前回のブログで、とりあえず健康で過ごしますなんて今年の目標立てていましたが、実は新年早々体調不良になってました。笑

 

年明け学校が始まってすぐでしたが、急に頭痛と吐き気があり、徐々に熱も出てきて。熱は38℃くらいだったんですが、過去最大級に体調悪すぎて丸2日は何も口にできず。

 

こんなこと今までなかったので、さすがにやばいと思い健康管理員に相談したら、もしかしたらデング熱かもしれないので病院受診しましょう、ってことで病院行って血液検査することに。

 

結果はデングもマラリアも陰性。炎症反応とかもなく他の数値も正常。

むしろ健康だなんて言われ...

原因は不明でした。

 

食べることも水を飲むこともできていなかったので、とりあえず点滴して帰宅し、数日休んだら治りました。

 

今回の赴任では病院にかからないようにと気を付けていましたが、9ヶ月で無理でした。

前回は変な虫に刺されたのが原因でしたが笑

その時の様子はこちらから↓

ryusei-tanzania.hatenablog.com

 

とりあえず、今後も気を付けます。

鼻にボールが当たって手術した小学校4年生ぶりの点滴でした。笑

 

 

ここからが本題ですが、テーマはタンザニアの野球事情について。

その1、という事で今回は野球部立ち上げの話と道具とかのお話です。

 

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タンザニアで『野球教えてる』と伝えるとほとんどが通じない、

もしくは

「野球って何?(nini?)」

というか答えが返ってくる。

バレーボールのレシーブのジェスチャーをしながら、「これか!」という時も。笑

 

少数派の野球を知っている人は、「タンザニアのどこで野球ができるんだ!バスケットボールの間違いじゃないか?」と言ってくることも稀にある。

 

こんな中で、タンザニアに来てから4ヶ月たった昨年8月に、学校に野球部とソフトボール部を作りました!

初練習のとき!野球、ソフトボールを以前からやっている選手にも手伝ってもらいました。

 

基本的には週3くらいで、選手と話し合いながら日程決めて練習してます。

まあ、練習と言ってもみんな初心者なので、ルールは一切教えず、とりあえず投げる、打つ、捕ること、といった基本の部分を楽しんでもらっています。

 

普段の練習の様子

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野球、ソフトボール部の立ち上げですが、競技経験のある専門種目を教える、という事が要請に含まれていて、道具とかもなんとかできそうかも!とある程度目途がたったのでつくることにしました。

 

ずっと野球やってたから野球やりたい、なんて話をしていると、同僚の体育の先生や他の先生、週末一緒に野球をやっている選手たちも道具の準備とか練習も手伝うよ!と言ってくれ、それも背中を押してくれました。

 

ただ、結論から言うとサポートを得られず、時間だけがかかってしまいました。特に道具問題。手伝うよ、って言ってくれていたので期待してしまったのですが…

 

協力隊あるある、って感じだけど、自分の力不足とかも色々感じました...

 

カウンターパートともう1人の体育の先生、といっても彼は月に1回学校来るか来ないかというくらい学校に来ない。もちろん、授業があっても学校には来ないことの方が多い。ただ、試合がある時は必ず来て、バスケやサッカーの練習試合には何度か一緒に行っている。野球にも興味があってちょっとやってみたい、なんて言っていた。

野球連盟とも繋がっているとのことで、道具はおれが野球連盟に連絡してなんとかするから待ってろ!って言ってくれましたが、学校にはあまり来ないので。

校長先生からは、道具とか試合とかスポーツ関係で何かあったら彼に頼りなさい、と言われていますが学校に来ないのにどうしろというのか。笑

一応、来るたびに道具の状況を確認していましたが、2ヶ月近く学校で見かけない日々が続き終了。

 

週末一緒に野球をやっていて、立ち上げのうわさを聞き学校に訪問してきた選手。

道具はおれが寄付で貰ったやつたくさん持ってるから今度持ってくる!と言ってくれた彼は、その後1度も学校へ現れることもなく、週末の野球にもあまり来なくなった。

 

学校の先生のうちの1人に野球連盟に所属している先生がいる。この先生は日本のことも野球も大好き。教育にも熱心。せっかく作るなら強いチーム作って、タンザニア甲子園で優勝しよう!代表チームも強くして、ちゃんと国際試合に参加したり日本に行けるようにしたいね、話をしていた。

ただ、この先生も学校にはあまり来ない...

 

といった感じのことが続いた4ヶ月でした。

でも、こんなこと言われたら、はじめは期待しますよね。笑

 

そんなこんなでさすがに我慢ができなくなり、自分で全部やってしまいました。

 

目途がたったから野球部をつくった、と言いましたが、野球部作ってどうしたかったかというと、野球を知ってもらい、楽しんでほしかったのがベースです。

タンザニアではどうしてもボール1つでできるサッカーやバスケばかりになってしまうので、他のスポーツもあるんだよ、と選択肢を増やしてあげたり、スポーツを通じて色々学んでほしい、といった細かいこともありますが、楽しくないと続かないので...

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肝心の道具ですが、ボールは野球連盟の会長に直接連絡し、野球連盟事務所にストックしてあった硬式10球、ソフトボール10球をもらえることに。

 

グローブは以前寄付されたものが11個ありましたが、ほとんどが壊れていました。そのうちの1つは直しようがないほどズタズタでした。とりあえずはあるものを直して10個(そのうち3個は左用)、使えるようにする。

可能ならばもう少しグローブがあるといいな、と思い色々当たっていると、寄付をされたけど使わないでずっと置いてある学校がある、という情報を週末一緒に野球をやっている選手からもらい、お願いして持ってきてもらうことに。

 

こういった学校が他にもあるらしい。野球連盟事務所に保管されている使っていない道具のほとんどは、軟式用バットで使えない、といった、【寄付された後】の問題も多いので、なんとかしていくべきだと個人的には感じています。

野球連盟の倉庫。使っていないもの(特にバット)だらけです。ただ、捨てる場所もない。

 

次に選手集めですが、先生方からはForm1の生徒じゃなきゃダメだ!という縛りを受けたので、体育授業を担当しているクラスで声をかける。

30人くらいやりたいって言ってくれたので、紙に名前を書かせてメンバー確保。

 

ただ、練習やるよ!と言って道具を準備しても誰も練習に来ない...

水、木、金と部活ができる時間が授業にあるにも関わらず、それでも集まってくれない。

なので、学年縛りも関係なくやりたい子たちと一緒にやることに。また1から選手集めをしました。

と言ってもForm1以外との関わりがほとんどなかったので、タンザニア人の習性である

 

『何かをやっているところに群れる』

『とにかくガヤ大好き』

 

というのを利用しようと思いつく。

 

グローブやボールなどの道具をグランドに並べて見せびらかし、みんなのいる前でキャッチボールをすることでとりあえず生徒を集めることに成功。(キャッチボールは近くに住んでいる選手に手伝ってもらいました。)

 

この写真は今年撮ったんですが、何かあるとタンザニア人はこんな感じですぐに集まってきます。

この写真の後ろで集まっているのはみんな新入生。今年は800人以上も入学してきたらしい。この日はざっくりですが50人はいました。話聞くとみんなやりたいといってくれて嬉しい気持ち反面、50人も一斉に練習はできないし目が行き届かない。道具もない、となる。こうなると、「道具があればなー」って思ったりもしますが、結局10人くらいがちゃんと野球部に入りたいとのことで、入ってもらうことに!全員合わせると30人くらいになりました。

 

全員が毎回練習に来るわけではないのですが、1人1個グローブは使えない状態なので、もっと増えたら、グループ作って曜日ごとに分けたり、道具どうしようかなーとか色々考え中です。

 

やりたい子全員にやらせてあげたいのですが、こういった状況なので今は野球部に入っている子優先で道具を使わせています。道具を使わなかったり、選手が集まっていない時は見に来ている子も参加できるようにしたりしています。

 

ただ、どうしても使いたい!と無理やり取り上げたりする子もいるのでそういう時は『ちゃんと野球部に入れば道具は使わせてあげる』と伝える。

ちょっと強引なやり方ではありますが、これで本当にやりたい子は

『じゃあやる!』

と言ってくれるのでこんな感じで選手集めています。

 

選手たちには大切に使う、数が足りないからちゃんと順番に使う、ということも毎日口酸っぱく伝えていますが、そんなことは関係なく取り合いの喧嘩は日常になっています笑

 

ルールを守るとか順番を待つとか、そういった概念がない。体育授業とかほかの部活でも、当然指導はしますが、9ヶ月たってもなかなか難しい。

わかる子にはわかるんですが、わからない子にはわからない。笑

 

体育の授業で急にバスケをやれと言われた時も、そのクラスは100人くらいいるのに対してボールが1個。とりあえずアップしてグループ分けて順番に試合。試合が終わっても変わらなかったり、「おれはこのチームだ!」と嘘をつく子も。試合は点は入らず、ボールの取り合いになって終わるのですが…

点が決まらないので試合後は、「点が入らないとゲームとしても成立しないし、面白くない」などと再度ルールとかを説明しながら、順番にフリースローをうたせたり。そのあとはレイアップ、なんてこともしましたが、順番に並べ、と言ってもみんなボールに触りたいので取り合いが起きる。

街中でバスに乗る時なんかもそう。順番なんかない。笑

 

練習をしていると邪魔をしに来て、練習している子から無理やり道具を取り上げるジャイアンのような年上の生徒、置いておいたボールをわけのわからないところへ投げて取りに行かない生徒、ボールを自分のものにしようとこっそり持っていこうとする生徒、グローブやバットをそのへんに投げ捨てる生徒などなど、指導と管理しなかったら無法地帯です。

 

みんなにやらせてあげたい気持ちはありつつ、壊れたら寄付、無くなったら寄付、というのを繰り返しているのが現状。

なのでいまは野球部の子優先で、さらには僕が見ていない状況では使わせないという対応にしています。(ボールやバットがあたって怪我したりするリスクもあるので。)

 

ちゃんと選手で管理できるようになるまで(帰国するまで)は徹底的にやろうと思っています。

 

実は立ち上げ早々、9月の時点で残念ながらグローブが1個行方不明になってしまいました。たぶん沢山集まった時にどさくさに紛れて持って行かれてしまったんだと思いますが…

 

練習始めてからまあまあ時間は経ちましたが、いまだにグローブやバットを投げたり、バットで石や木を打ったりする子もいますが、最近は選手同士で注意してくれることもあり、成長している面も感じられます。

 

以前、毎回練習にも参加し、道具の準備と片付けも積極的にしてくれると選手が「いい加減にしろ!」と何度言っても道具を大切に使わない、順番を守ったりしない選手に対し強烈な右ストレートを決めたことがありました。

手を挙げるのはよくないことですが、道具を大切にしないといけない理由とかを僕に代わって注意してくれる選手も数名いて。

右ストレートを食らった選手は、それ以降ちゃんと大切に道具を使っています。笑

 

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立ち上げてすぐのころ、ソフトボールをやっている子たちも来てくれたのですが、大量のソフトボールとキャッチャー道具を練習に持ってきて、「この道具どうしたの?」と聞くと、『もともとジュフディ(僕の配属先)にあったやつ持ってきた!』と。

 

聞いてみると、以前寄付されたものを家に持って帰ってそのままずっと置いていたらしい。さらに聞くと、もっと道具もあったし、そのときいた生徒がグローブとかボールを持っているはず、とのこと。

 

野球知らない人多いしそもそもタンザニアで野球道具は流通していないので、自分の道具を持っている人はほとんどいないはず。(個人でもらったりしているものは例外。)

 

たまに練習手伝ってくれる20歳の選手がいるんですが、この話をした時に彼は「このグローブは生徒だった時に寄付できたやつ盗んだんだ!」と満面の笑みで言ってきて、さらには「他の選手もみんなそうだよ!」と。

そうだろうな、とは思っていたものの、あまりに堂々としすぎていて返す言葉がなく...

 

選手本人がそうだといっているので、個人で持っているということは高確率でどこかにあったやつを勝手に自分のものにしてしまっているのであろう。

こんな感じで道具は次から次へと無くなっていくんだろうなーと。

こんな感じでで次から次へと寄付が来るだろうなーと。

 

たまにボールペンとかノートを貸してって言われて貸すことあるけど、それも返せというまで返さないのでそういうことなんだろう。

 

バックの中も勝手に漁られるし、ペットボトルの水も飲まれたり、僕の持っているボールを勝手に持っていったりすることもあるので、そういったところでも常に目を離せないので精神的に疲れますね。笑

 

野球以前に教えなければいけないことも山ほどある状況ですが、人生初キャッチボール、キャッチャー防具装着、楽しそうにやっている様子を見られるので、大変なことも多いですが、楽しい部分もたくさんあります。

 

道具についてもうすこし考えたい。

先ほども書きましたがタンザニア国内で野球道具は流通していないので、寄付して頂いたものを利用しています。

道具がなければプレーできないので、寄付は非常にありがたい。これは野球だけに限らないと思う。

できることの幅も広がるし、生徒も先生にも色々経験させることができる。

 

ただ、残念ながら現地の状況は寄付慣れしている。

 

野球が身近ではなく、自分たちで買うことができないので仕方ないですが、自分たちでなんとかしたい、っていう意欲も少しはほしい。なんて思うこともたまに。

 

アフリカで野球普及や指導をしていた方たちから話を聞くと、なんとかしてグローブやバットを自分たちで作ろうとする、って話もよくききます。それっぽいものができるものの、質は良くないのですぐ壊れてしまうらしいですが、話を聞くだけでも、野球をやりたい!自分の道具が欲しい!って熱量がすごいなって。

 

一方、いま関わっているタンザニアの選手たちは「つぎ新しい道具はいつくるのか?」とか「新しいのが欲しいんだけど」って言ってくることがある。

道具をちゃんと片付けない、雑に扱う、ファールボールや草むらに入ったボールを取りにいかない、寄付されたユニフォームも使った後にそのまま放置などなど...

使用後にグランドに脱ぎ捨てられたユニフォームと靴

まずはここからだと思うけど。

 

昨年10月末、中古の硬式ボールとソフトボールを10球ずついただく機会がありました。ありがたく使わせていただいたのですが、1ヶ月もたたないうちにこの状況に↓

1ヶ月で10球が3球ってどうしたらこうなるのって感じですよね。

日本なら、しばらく練習させてもらえないか、ひたすら走りになるかのどっちか。

 

どうすればなくならないか、管理の仕方も含めて連盟と選手とも話をしましたが無理でした。

 

はじめはこっちでも一緒に管理をしながら、最終的には選手たちだけで管理できるようにしようと思っていたのですが、連盟からは、「もうボールはこっちのものなんだから好きに使わせろ。なぜそっちが管理するんだ。」といったことを言われ、その結果がこれ。

 

連盟の言い分もわからなくはないんですが、こうして今まで何百球と寄付されたボール、グローブたちはどこかへ消えて行ってしまったんだな―と思うと...

仮に練習球が1球1000円だとすると、相当な金額ですよね。

 

選手を集め、なぜボールが無くなるのか、なぜ探さないのか、なぜ大切に使わないといけないのか、と聞くとだいたいの選手は「Sorry」と言い、少しの期間は意識して大切に使おうとするけど続きはしない。

この時、とあるForm4の選手(日本で言うと高校2年生)は「次新しいのはいつ来るの?どうせあるんでしょ?」みたいなことを反省している様子もなく笑いながら聞いてきたのでこの時はさすがにキレました。

 

でも、こういう状況を我々が作ってしまっているのは否めない。なぜなら寄付やその他のサポートをずっと続けているから。

難しい部分ではあるけど、悩ましい。

 

グローブも、連盟に寄付されたものを個人のものとして使っている選手もいる状況。

ほしい気持ちはわかる。でも、みんなで使うために寄付されたものを勝手に個人のものにするのはよくない。いまやっているセカンダリーの選手たちは持って帰ったりしていないので大丈夫ですが、寄付されたものを勝手に持ち帰ってリーグでプレーしている大人の選手たちを見たら、そりゃ子どもたちも欲しくなりますよね。

 

いまさら返せとも言えないのでそのまま使ってもらう事しかできないのですが、グローブに関してはいつかなんとかなりそうな気がしている。

僕の住んでいるエリアには牛の屠殺場があり、大量の革が通学路にある工場の空き地みたいなところに置かれていることがあります。ほとんどはソファーとかに使われているらしいけど、革はある。加工できるなら、質はわかりませんがこっちでもグローブ作ることはできると思っています。

 

昨年の甲子園で話題になっていた、おかやま山陽高校の監督さんのお話。協力隊でジンバブエで教えていた時に

 

・サッカーボールをつぶして紐を通して作ったグローブ

・木の棒を削って作ったバット

 

を使っていた選手がいたらしい。

 

令和の時代にそこまで、とは思いませんが、本当に野球が好きならそこまでの熱量があってもいいのでは。とも思ったり。

ボールも、ずっとなくなって寄付繰り返すくらいなら、紙とか丸めてそれでバッティングで良いじゃん、って。

 

まあ、さすがに試合でそんなことにはいかないので最低限の道具はちゃんとキープしておくべきだと思いますが、練習は工夫次第でいくらでもできる。

(もちろん、できるならちゃんと道具を使ってやるべきだとは思っています。)

 

といったことを思ったり思わなかったりしている今日この頃です。

 

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以上、活動9カ月での成果でした。

 

つぎは、タンザニア甲子園やリーグ戦の話!

その後に、キリマンジャロ、ですかね。

 

早くしないと。笑

 

それではまた。

Asante!

家の敷地内にいる子猫が最近の癒しです。