The Road Not Taken 〜タンザニアライフ〜

JICA海外協力隊(青年海外協力隊)タンザニアでの生活、活動の様子をのんびり載せていきます!

Mjapani

どうも!


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先々週また急に試験が始まったと思ったらForm2のプレ国家試験とのこと。

Form2以外は通常授業と言っていたけど、教室は全部テストで使ってるし、そもそも生徒も来ていなかったので授業はありませんでした。

 

先週は全学年中間試験で、今週から2週間の中間休みの予定です。

 

いつも急なスケジュールでテストやら休みが始まりますが、カウンターパートやほかの先生に予定を聞いてもわからないと言われるので、本当にみんな知らないのか。それともごく一部の人だけが知っているのか…

 

スケジュールが張り出されるのもだいたい当日になってからで、よくこれで先生も対応できているなーと。

 

はい、こんな感じでとりあえず4カ月です。

 

さて、本題ですが今回はタンザニアのスポーツ事情、寄付のお話です。

 

先日、Twitter(現在はX)で、

【どれだけ寄付を続ければ野球は普及するのか】

といったツイートをみて、タンザニアの現状を呟いたら少し反響があったので、タンザニアのスポーツ事情をと寄付の現状をテーマにしてみました。長いですがご一読ください。

 

https://x.com/ryu_556_tzbb/status/1684231184333541377?s=46&t=bWoRqhj5h-S0Nad1uECncg

 

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6月中旬にタンザニアで行われていた

『FIBA AFROCAN QUALIFIRES』というバスケットボールの国際試合。

FIBAランキングは全162チーム中151位のタンザニア。結果は残念ながら予選敗退でした。

正式な情報が出ていないのでわかりませんが、代表選手は聞いた限り30代が多かったです。それも、ほとんどがプロではなく、仕事をしていたりする人たちらしい。


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4試合くらい観に行ったので選手とも仲良くなりましたが、結局言われるのが「おれにシューズを買ってくれ。」と。

代表選手でも結局誰かに頼らないと道具が買えないレベルという現実。

 

バスケはタンザニア国内でサッカーの次に人気があるスポーツだと思われる。

ジョーダンやレイカーズと書かれたウェアを着ている人も街中でよく見かける。(ほとんど偽物ですが)

 

男子の日本代表は先日沖縄で行われていたW杯で来年行われるパリオリンピックの出場権獲得していましたが、タンザニアはオリンピック、ワールドカップは共に出場なし。

最高成績は1974年のアフリカ選手権8位だそう。

 

まあ、サッカーが圧倒的人気のため、次に人気があるといってもかなりの差だと思いますが、それでも試合はまあまあ盛り上がっていました!

 

かといって国内一番人気のサッカーも強いかというと、そうでもない。ちなみにサッカーの世界ランキングは208チーム中124位。

タンザニアンプレミアリーグという国内リーグが16チームで行われていて、ウガンダ等の東アフリカ周辺国、西アフリカのマリなど海外選手も参加しています。

こちらも見る限り、若干年齢層が高い気がしている。

 

 

タンザニアではスポーツよりも勉強優先!という教育方針なので、当然学校でもスポーツを行う機会は少ない、というかほぼ無いに等しい。

かといって、教育が重要視されているかと言われたらなんとも言えません。(あくまで個人的な感想です。)

 

体育(Physical Education )の授業はあるものの、タンザニアでは進級進学に国家試験が必要で、試験科目に体育も含まれるため座学となっています。

体育授業の様子



 

クラブ活動などをやっていない限り、幼い頃から身体を動かす、スポーツに触れる機会はほとんどない。体育の先生ですら、実技経験はほとんどないことが多い。

 

そして1番大きな問題は、公立学校はボールなどスポーツ用具に使う予算は1円もない!

当然のごとく使えるものはほとんどない!

 

ということです。

 

協力隊が赴任される学校とかでは、寄付や業務費とかを使い、ボールとかを用意できることもありますが、協力隊がいなくなり現地人だけで管理ができなくなるとすぐに壊れてしまったり、誰かが持っていってしまうこともあります。

 

実際、今行っている学校ではサッカーボールや野球道具、ビブスなどスポーツ用具がある程度揃っていると事前に伝えられていましたが、5月に初めて学校に行き確認したところ、ちゃんと使える道具はグローブ5個しかなく、他のものは壊れているか紛失していました。笑

確認したときに撮った写真。写真を撮るために並べました。

 

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こんな感じでタンザニアのスポーツ事情を調べていると、全くスポーツに力を入れていないことがわかった。

 

たとえばタンザニアのお隣ケニア(正しくは北側)ではマラソンが有名ですよね。大迫選手や田中希実選手もトレーニングをしたことがニュース等で流れていたかと思います。

 

マラソンで稼いだ賞金を家族とかを養うために使う、なんてよく聞く有名な話です。

活躍できる選手は一握りですが、大金を手にしている選手がいるのは事実です。

日本人の方で、【選手育成キャンプ】を設立したという記事も見かけました。

 

世界最古の大会『ボストンマラソン』の賞金は15万ドル。

陸上ウエアやシューズで関わりのあるメーカー『NIKE』と大型契約できれば10万ドル。

なんて言われています。

 

ということは、『マラソンドリーム』なるものアフリカ各国、タンザニアからも出てきてもおかしくないのではないか。

 

さらにお隣のウガンダ(ウガンダも正しくは北側)ですが、東京オリンピックでは選手25人参加。

金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル1個、全て陸上競技で獲得しています。

 

ウガンダでメダル獲得の賞金が出ているかは調べても出てきませんでしたが、日本ではメダルを獲得すると日本オリンピック委員会から報奨金として金は500万円、銀は200万円、銅は100万円がもらえます。

ちなみに世界最高金額は約8500万円のシンガポールだそう…

 

スポーツで良い成績を残せば、大金を手にできる可能性があるというのをあまりわかっていないのか?

それとも、集団で群れてガヤをするのが好きな傾向にあるタンザニア人は、自らしんどいことをするのが嫌なのか…(すぐに疲れた、というのでこのパターンはあるかも。)

 

ちなみに東京オリンピックに出場登録されていたタンザニアの選手は4人。

内訳は男性3名(陸上2、競泳1)女性1名(陸上)。調べても競泳選手の記録が出てこないのでどなたか知っている方いましたら教えてください。笑

 

男子マラソンでは6位大迫選手に続いて7位にタンザニアの選手が入賞しています!

 

好記録だし、他のタンザニア人選手もポテンシャルがあると思うので育成したらそれなりに選手は出てきそうな気がしますが、なぜあまりスポーツに目が向けられないのか。

 

オリンピックの現状から考えられるのは、通常各国のオリンピック委員会は、国からの予算補助やスポンサー収入などがあり、その一部をアスリートの育成に使っていますが、タンザニアオリンピック委員会(TOC)には予算がなく、政府からの補助すらもないらしい。

若い選手たちを育成する資金もないので、少数精鋭で支援する、という方針で活動しているそうです。

 

タンザニア側から在タンザニア日本大使館に選手派遣のサポートしてほしいとの依頼があったとかなかったとか。

 

オリンピックでは現地での滞在費や、選手村から競技場までの移動費等、開催国が負担する費用も多くあります。

必要な経費は開催地までの渡航費や選手村以外での滞在費等。ユニフォームや用具を国やスポンサーに用意してもらえなければ、これも自身で負担をすることになる。

選手村での食事は通常開催国が準備しているので、自分の競技日程に合わせて現地入り、競技終了後速やかに帰国すれば負担経費も少なくなる。

 

仮にユニフォーム等をすべて用意してもらったとして、とりあえず必要なのは航空券だけだと考えると、タンザニアから日本までの往復が安いエコノミークラスの約30万円、選手4人で120万円。

 

この金額を高いと思うか安いと思うかはそれぞれの価値観ですが、タンザニアの教員の平均年収4,000,000Tsh(日本円約20万円)だとすると、高い気がする。

 

陸上競技のように、なんとかシューズがあれば!という競技でも、選手が各自で準備することはタンザニアでは難しいらしい。

 

他にも考えられることはありますが、とりあえずは『お金』の問題は少なからずありそうな気がする。

 

その日暮らしをしている人がまだ多くいる現状、家事などでスポーツに割く時間はない、スポーツしても金にならない、お腹が空くだけだ!なんて考え。

 

その日暮らしなのに、スポーツしてお腹すいたのにご飯が食べられないなんて、きつい。

 

野球をやっている子たちは、関わっている限りみんな余裕がある方なのかなーと感じています。

 

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自分たちでお金が準備できない、野球に関してはそもそも道具が売っていないのでこっちで手に入れることは難しい、といった感じで最終的に誰かに頼る(寄付)しかない状況。

 

じゃあ寄付した道具(野球以外も含めて)がちゃんと大切に使われるかといったら、そこも指導からスタートしなければいけません。

タンザニアで野球が始まってから約10年経ちましたが、まだまだ指導が必要です。

寄付されたものだから大切にしない、という見方もありますが、みんな寄付慣れしている部分もあると思います。

 

もちろん、道具を大切に使う選手もいます。

でも寄付慣れしているせいか、十分な道具が揃っているのに

『これじゃ足りない』

『新しいのが欲しいから道具を日本から送って欲しい』

と言ってくる選手も実際にいます。

 

学校でも先生が「金くれ、物くれ」って言ってきますし、寄付をしすぎた影響なのか、自分たちでなんとかしよう、ってならないんです。

 

『道具とか困ったことあったら日本から送るから!』といったありがたい連絡を頂くことも多いです。

 

道具がたくさんあれば楽だし、できることも増えますが、それがタンザニアのためになるかと言ったら、イコールではないと思っています。

 

魚の釣り方を教えずに魚だけタダでプレゼントしているようなもんです。

 

最近流行りのよくわからないビジネスで『海外支援を!』とか『途上国に学校の校舎作る!』って言ってるのもちらほら見かけるようになりましたが、じゃあ学校の校舎だけ作って生徒や先生はどうするの?って話と似ているような気がしています。

 

はじめは寄付やサポートがないとできないのは当然ですが、持続可能な社会を!って言ってるわけですし、1番根っこの部分で活動している協力隊も、限られた時間のなかで隊員がいなくなってからも現地の人だけで続けられるように、現地の人と一緒に汗水流し、冷たい水シャワーを浴びながら活動しているわけですから…笑

 

だからとりあえず寄付すればいいみたいなのは正直なしだと思っている!

 

寄付とかの連絡をくれる人たちには申し訳ないけど、どうしても寄付や支援をしたいといった気持ちがあるのであれば、ぜひ一度現地に足を運んでいただきたい!

そして、現状をみてどうしても必要だと感じたら寄付をしていただきたいのが本音です。

 

日本で使わなくなったから送ろう!っていうのはめちゃくちゃありがたいけど、その気持ちが無駄になってしまうこともあるのが現実です。

 

タンザニア野球連盟の事務所で保管されている道具でも、使っていない物はたくさんあります。


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じゃあ使ったらいいじゃん!って話ですが、普段硬式ボールで練習や試合をしているのに、軟式用のバットばかりなんです。リサイクル等もできないですし、行き場所もなくなっています。

 

タンザニアだけに限らず、野球だけに限らず他の国でも同じようなことはあります!

よくあるのが古着の寄付で、量が多すぎて着る人がおらずそのまま破棄することがある、なんてことも聞きますよね…

 

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最後に、せっかくこっちに住んで活動しているのにただの金持ち、寄付するだけの日本人(Mjapani)だと思われるのは嫌だという願望。気持ちは良くないしこの状態で活動するのも大変なことが多い。

 

依存しているからか、現地の人でなんとかしようという気持ちがあまりない。特に学校では。

協力隊がいればいつでも授業をやってくれる、道具を支援してくれる、と言った感じがある。

 

歩いていると金くれご飯くれっていつも声をかけてくる人がいるところを、練習終わりに選手と帰っていました。

この日もいつも通りしつこく声をかけてきたので、いつも通り無視をしていると「なんで返事しないのか?」って選手から聞かれました。

シンプルに、「いつもしつこいし、あげるお金はないから申し訳ないけど返事はしない」って答えると選手から、

『タンザニア人は白人や日本人のことみんなお金持ちだと思ってるし、優しいからくれると思ってるよ。』

って当然のように言われました…

 

彼は野球初めて2、3年?の20歳の選手で、なぜ道具を大切にするのか、など野球を通して教わっているので理解はしていますが、たまにこういうことや、道具が足りないから送って欲しいって言ってくるので、結局根っこの部分まで変えていくにはめちゃくちゃ時間かかるんだなーって。

 

そもそも物を大切に使う、ルールを守るといった考えを持っていないことが大人でもあるので…

 

じゃあ野球や学校でどんな風にしてるのかって話はまた別の機会で。

 

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ということで、タンザニアスポーツ事情と寄付の現状のお話でした。

 

8月に、無事に訓練を修了した隊員が5人きたので、これからタンザニア隊員賑やかになっていくと思われます。

 

7月には知り合いもタンザニアまで来てくれたし、ダルエスサラームは凶悪都市と言われていますがそんなことないのでぜひみなさん遊びに来てください!

 

それではまた。

Asante!

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